蜜色オフィス
……なんか、分かってはいたけどやっぱり複雑だな。
私の事を好きって言ってくれてた人が、他の女の人の肩抱いてるとか。
ホテル連れ込もうとしてるとか。
まだラブホじゃないだけマシか、なんて思って苦笑いを浮かべていると、宮坂が言う。
「で、これからどうする?
早川がつかみたがってた決定的証拠は手に入ったけど」
宮坂がそう言いながら見せるのは、ケータイの液晶画面。
映ってるのは、沖田さんと女の人。
最新ケータイの精度のよさに感心しながら、はぁってため息をついた。
「……帰るかな」
「帰る? あのふたりをあのままにして?」
「いいの。別に、証拠突きつけて謝って欲しいわけでもないし。
私だって、なんとなく流されてここまできちゃっただけで、沖田さんを想ってるわけじゃないから」
「だとしても。早川の事だから少なからずキズついただろ」
「でも、いい加減な気持ちだったのはお互い様だし……。沖田さんだけを責めたりできないよ。
明日電話でもしてちゃんと別れる」