蜜色オフィス


「一課の俺にこんな事して、ただで済むと思ってんの?」
「報告でもなんでもすれば……んぅ!」


食ってかかった私の口を、後ろから宮坂が手で塞ぐ。


「ふぅー! んんーっ!!」
「いいから、黙ってて」


落ち着いた声でそう言った宮坂が、沖田さんを見る。
それからため息混じりに言った。


「恋愛のこじれから起きたケンカを、会社にどう報告するつもりだか知らないけど。
極めてプライベートな事だし、この話が会社中に広まった時、窮地に立たされるのは沖田の方だろ」
「どういう意味だよ」
「社内に手を出した女がひとりもいないなら話は別だけど。
まぁ、俺が知る限りでも4,5人はいるし実際にはもっといるだろ」
「……」
「その全員と、遊びだって話がついた上で関係を持ったとも思えないし。
適当に甘い事言ってそそのかしたなら。
早川との噂が広まった時立場が悪くなるのは沖田だろ」



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