蜜色オフィス
……確かに。
宮坂の言うとおりだと思って大人しく黙る。
沖田さんも反論できないみたいで、ぐっと押し黙ってた。
それから、「ちっ」って思いっきり舌打ちした後、すっかり傍観者になってた女の人を呼ぶ。
「絵里、場所変えるから来い」
「え、でも受け付けしちゃったし……」
「そんなのいくらでもキャンセルできるだろ! いいから来い」
絵里って呼ばれた女の人が沖田さんの隣に並んで、ふたりが私たちとすれ違う。
「あんま生意気な事ばっか言ってると会社内で潰してやるからな」
すれ違い様に言われた言葉にカっときて、言い返そうとした。
けど、宮坂の手はまだ私の口を塞いでいて。
うーうー唸った後、諦めた。
少しだけ集まっていたギャラリーを睨みつけながら、沖田さんがホテルを出て行く。
その姿が見えなくなってから、宮坂が「俺達も場所を移した方がいい」って言った。