蜜色オフィス


「宮坂だって、なんで言い返さないの……?!
あんな、ひどい事……、言われたのに……!」


このジンジャエール、オーダーミスでアルコール入りにされちゃってると思う。
ジンジャーのアルコールがあるのかどうかは知らないけど。
でも、そう思うくらい、涙が止まらない。
ついでに、口も止まらない。


「沖田さんが、仕事できないの、私だって知ってるよ!
沖田さんがミスしたせいで回ってきた仕事を、宮坂とかがカバーしてるのだって知ってる……!
なのに……、なんで宮坂が、仕事の事であんな風に言われなくちゃいけないの……?!」


お店のおしぼりが涙でびしょびしょになってた。
もうとにかく悔しくて。
なんで自分の事より宮坂をバカにされた事の方が悔しいのかは分からないけど。


「二年も、隣の席で宮坂が仕事を一生懸命やってるのを見てきたんだから……!
沖田さんなんかに宮坂をバカにする資格なんかないのにっ」


バカにされた事が、悔しくて。
何も言い返さない宮坂が、悔しくて。

だけど、涙が止まらないくらいに熱くなってる私とは反対に、宮坂は落ち着いた声で言う。


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