蜜色オフィス


「二年も隣の席にいて、気付いたのは仕事の事だけ?」
「……え?」


意味が分からなくて聞き返すと、宮坂は私をじっと見てからジンジャエールを取り上げた。


「とりあえず、これやめろ」
「だから、ただのジュースだってば!
酔っ払って泣いてるんじゃないもん……! 悔しいんだってばっ……」
「とにかく落ち着けって」
「……うぅっ」


なんかもう言葉にさえならない始末。
こんな女の相手をさせられて、宮坂は可哀想だな。

私って酒癖悪かったのかも。
前も宮坂の部屋に上がりこんで迷惑かけちゃったし。

……でも今はジュースしか飲んでないんだけど。
あまりの悔しさに酔ったのかもしれない。アドレナリンとか、そんなのに。

だからこんなにも熱くなっちゃってるのかも。

なんとか怒りの熱を冷まして気持ちを落ち着かせようと、水を一口飲む。
ひんやりとした水が喉を通ると、少し冷静になれた気がした。



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