蜜色オフィス
「……ごめん。宮坂に迷惑かけるつもりなかったのに」
声のトーンが下がった私を、宮坂がウーロン茶を飲みながら見る。
「別に迷惑だなんて思ってないけど。
沖田を追いかけて肩を掴んだ時、あれぐらいの事は予想できたし」
「……そっか」
「でも、いくら押し切られたからって、沖田なんかと付き合うのはどうかと思うけど」
「すみません……」
なんかもう、その件に関しては返す言葉もなくて謝る。
だけど、宮坂からの注意はそれだけに収まらなかった。
「あと、福田の事も」
「あ……、はい」
「もういい大人なんだから、自分の身は自分で守れるようにしないとまずいだろ。
男なんていつ豹変するか分からないんだから、信用できる男と以外、ふたりきりはなるな。
断われないからって、気軽くうなづくな」
「はい……。すみません」
沖田さんの件どころか、福田くんの件も耳に痛い。
十分すぎるくらい自覚があるだけに、肩を落として、ただ頷く。