紫陽花のキミに。
第1章
俺のカテキョ。
「悟にカテキョ紹介してやるよ」
は?
カテキョ?
いや、いらない、いらない。
別に自慢するわけじゃないけど
俺頭いいし
カテキョとかいらない
「なんで?」
とりあえずそう返してみた。
「なんでってお前がもたもたしてるからだろ!」
もたもた?
勉強でもたもた?
してるけど
してても点数とれるし…
「いや、カテキョとかいらない」
ここはちゃんと断っとかなきゃ後が面倒だし
「遠慮すんな、遠慮すんな!」
「してな「もう話はついてるから、大丈夫だ」
何が大丈夫なんだ
「じゃな!俺、部活行くから」
そう言ってさっさと手を振って
教室から出ていった
「は?ちょ、おい」
引き止めようと身を乗り出したが
さっさと廊下を走っていく音だけが耳に届いた。
「カテキョってなんだよ…ったく」
俺はため息を洩らして
再び椅子に座り込んだ。