隣の席のキミ



………………
……?????!!
…え!?
えぇ―――――!?
嘘。
…嘘に決まってる。
……ありえないでしょ。
「ちょ、ま、嘘はやめてよ!!」
とにかく、信じられない私。
疑うことしかできませんよ…。
「嘘な訳あるかぁ!」
もりちゃん…自信満々??
「てか、それ誰情報ですか!?」
「うちの友達の彼氏の友達ぃ」
「…だいぶ遠いね…」
「そんなの関係ない!ってかそういうのって意外と近くにいるんだから!!」
そう言ってもりちゃんは黒板にくだらない落書きをしている一人の男子を指差した。


…あれは、前野拓也(まえの たくや)。
性格は優しい方で、良くメールする相手。…チャラい系。
藤田と仲良いだけある…。


「…でも、」
……だって、そんなすぐ別れちゃうもんなの…!?
「大丈夫!!だって藤田だもん♪うちの友達の彼氏の友達を信じてやんな」

普通に前野って言えばいいのに。
説得力のない説明……。
でも、信じないのも情報を得てくれたもりちゃんにも、一緒に喜んでくれてる真菜にも悪いし…ここは信じておいた方がいいような気もする。


「……うん」
少したって私は頷いた。
ホッとする二人の顔。
なんか、この二人、恋のキューピットさんみたい…(笑)


…不安はまだ、ある。
……けど、ちょっと、いやかなりホッとした自分がいる。

藤田が、彼女と別れたんなら私、まだ藤田を好きでいていいんだよね…?

“好きでいていい”


この言葉だけで、嬉しくて。
恋をしてよかったって思える。

誰かを好きでいることに、
理由なんていらないんだ。

「私…頑張る…」
無意識に口からでた言葉。
それを聞いた二人はにっこり笑った。


< 10 / 110 >

この作品をシェア

pagetop