隣の席のキミ



よろける私を祐斗は支えてくれた。
「うん~。なんか力抜けた~」
「頑張ったな。お疲れ」
そう言って私の頭をなでてくれた祐斗の手は、大きくて、温かくて、優しくて。
藤田祐斗そのものって感じがした。



それからのデートは、映画を観たり遊園地で遊んだり、水族館に行ったり、そういうのじゃなくて。
行き慣れたお店で、見慣れた物を見て、しょうもないストラップを買っておそろいでケータイにつけた。
その時に、もりりんからメールがあったことに気付いて中身を開く。
『昨日は泣いてごめん~(>_<)あれはサプライズだったみたいで、女の子が誕生日に欲しいものを元カノに聞いたんだって~(笑)今日、プレゼントもらったよ♪』
なるほど…。
サプライズ、ね。
なかなかやるなぁ~タカの奴。
今日はもりりんの誕生日だから、きっと二人でラブラブデートだろうな。
『誕生日おめでとう★良かったね!サプライズだとは思わなかった(笑)』
私はそう返信してケータイを閉じた。
「ねーねー」
「…へ?」
「見てみ?」
店から出たら、祐斗はそう言って向こうの方を見た。
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