隣の席のキミ
とうとう、目に溜まっていた涙が一滴、二滴と頬を伝っていった。
『祐斗』
『由花』
お互いがこう呼びあえる関係になるまでに、二人は二人らしく、いろんな壁を乗り越えた。
苦しくなって、逃げたくなって、それでも君を忘れることはできなくて…。
「勇気」という必須アイテムを使わなかったら、私達は今頃、どんな関係になっていただろう。
どんな想いを抱いていただろう…。
勇気を出したことで、後悔したことは何もない。
失ったモノなんて、何もない。
「俺、マジで由花一筋だから!!」
祐斗は笑ってそう言った。
私の大好きな笑顔で。
こんな感じでタカも、もりりんに言ってたな…。
ふとあの二人を思い出す。
同時に真菜と前野のことも頭に浮かんだ。
みんな、幸せでいられるといいね…。
恋は、苦しむモノじゃない。
笑顔にしてくれたり、時には悲しくなって…また笑顔になっての繰り返し。
それが、幸せ。
笑いあえたら、それは勇気。