隣の席のキミ
俺の知ってる女 Yuuto
ある時、しかも突然…小学校からの同級生、山城由花が言った。
「アド交換しよーよ!?」
少なくとも俺はビクッた。
小学生、中学生と山城さんのことを見てきたけど、性格がだいぶ、いや、かなり変わった。
小学生の頃の山城さんは、なんか、暗くて正直近寄りにくかった。
でも、なぜか、友達と喋ってるときはいつも楽しそうに見えて。
だから、小学生のときはほとんど話したこともなかったかも…(笑)
あっちも“藤田さん”って呼んでたから、なんか俺も自然と“山城さん”って呼んじゃってるけど。
中学生からか…。
なんか、急に明るなって、クラスも一緒だったから結構喋ったな。
中学生になってから、山城さんは自分からクラスをまとめたり、一生懸命なところも多くなってて、先生からも結構期待されてた。
………なんか、すげぇ、距離、感じた。
でも、まあ、そういう山城さん見てたら、俺もちゃんとしなくちゃって思ったけど(笑)
そして、今の、高1。
山城さんは男に積極的な方じゃなかった。
逆に、男が苦手の部類になってたはずなのに、いきなりメアド交換をもとめらて一瞬どうしたらいいのか分かんなくなった。
「え~山城さんに教えんの~!?」
とりあえず、曖昧な答え。
「いや、別にヤならいいんだけどさ~」
山城さんはサラッと流そうとしたけど、あまりにも冷たくねえか?俺…?
さすがに、これじゃ、ダメだろ…。
……………
……………
いや、俺は別に、交換してもいいと思った…けど……梨華は…?
梨華にとったら、いやなんじゃねえのか…?
でも、まあ、断る理由も言えるわけでもないし、別にいいよな…。
「しょおがねーなー教えてやるよ~」
俺達は赤外線でメアドを送りあった。
……
俺はこの時、何一つ考えてなかった。
ただのアド交換…。
でも、それは、山城さんにとっては違かったんだな…。
突然戸を開けて教室に入ってきた担任の中山にケータイがみつかりそうになったけど、山城さんのおかげでセーフだった。
山城さんは前と比べると、ほんとなじみやすくなった。
だから、喋ってても、普通に楽しい。