隣の席のキミ



「いや、…だ、だって朝から気付いてなかった…から…っ」
多分、気付いてないのはクラス中で山城さんだけだと思う。
少したって、山城さんが「藤田朝から気付いてたの!?」と聞いてきた。

…そりゃあもちろん。
同クラ&隣の席で気付かない方がおかしいだろ…(笑)
でも、それを言うと、山城さんがますます可哀想になる。
だから、せめて、笑っておこう。
「まあね(笑)」


それから、山城さんが寝癖について聞いてくることも、責めてくることもなかった。
俺が、もっと早く言ってれば、恥なんてかかずにすんだはずなのに…。

山城さんは恥ずかしがり屋なところも昔から変わってない。
だから、多分、ショックだったかも…。



山城さん…
遅くなって、ごめん…。

でも、俺は、そういう山城さんの性格、結構気に入っている。
こんな天然…バカ…で、いつも笑ってて、
時にはいろんな表情を見せてくれる。
そんな君は『ひまわり』みたいだ。
でも、これは恋愛感情とは、違うだろう。
俺にとって、山城さんは
友達以上恋人未満だ…。
まあ、普通に友達なんだと思う。

正直、山城さんの性格が明るくなったとき、びっくりしたんだ。
暗くて、
泣き虫で、
恥ずかしがり屋。
真面目で口数が少なくて…
男子友達はほとんどいない。


そんな彼女でも、女子の間では結構好かれていた。
お人好しで、
優しくて、
面白い…
女子の目には、そう、映っていたらしい。
男子が苦手な彼女は、女子にしか素を出さなかった。



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