隣の席のキミ
隣の席のキミ
[隣の席]
私、高1になったばかりの山城由花(やまき ゆか)。
実は今、好きな人がいます。
「由花ぁー早くご飯食べなさい!!」
まだ着慣れない制服に着替える私に、一階から呼ぶお母さん。
「はーい!!今食べる~」
鏡の前の私は、とりあえずお母さんに聞こえる声で返事をした。
「あー寝癖ついてるー!!」
髪の毛の寝癖に気付いた私。
寝相が悪いから、ほぼ毎日寝癖がひどいんだけど…今日はなんか、いつもよりハネてるなー。
私は慌てて寝癖を直し、階段を駆け下りた。
「由花ぁ、早くしないと遅れるってばー」
「わかってるよー!いただきまぁす」
急いでテーブルの上に用意されていたトーストを口に運んだ。
「いってきまーす!」
そして、家を出る。
はぁーなんで私っていっつも余裕ないんだろ…。
っっっ!!!どうでもいいこと考えてる時間なんてないっっ!
マイペースな上に、天然を遥かにこえてバカな私…。
自分でも呆れる…。
「おはよー由花」
「あ、真菜、おはよー」
挨拶したのは、親友の原田真菜(はらだ まな)。
自分の机にバッグを置きながら、隣の席を意識する私。
…まだ来てないのかぁ…。
隣の席の、男子、藤田祐斗(ふじた ゆうと)。
アイツも結構ギリギリなんだよね…。
藤田おはよ。
おー、おっはぁ~。
英語の予習やったぁ~?
ははっ。やるわけねーじゃん。
/////////
男子と藤田が話す声…。
もう、これだけで頬が熱くなる。
隣を見ると、藤田はもう、席に着いていた。
……早い。
って何がんみしてんだ私っ。
「はよ」
「え?あ、おはよ」
がんみしてたら、そりゃあ目も合うわけで…。
突然された挨拶には、やっぱり戸惑う。
それからは、君との会話はなくて、でも満足で。
そろそろ、授業が始まる頃…。
と、思ったら、あと五分もあった。