隣の席のキミ





「…っ…ごめんっなさい…っ」
教室で1人。私はそう呟くと、その場で泣き崩れた。

キスをした…。
でも、それは、遠く儚いもので。
きっと、二度とする事はないだろう。
私がキスをねだったのは、君を全て忘れるためだった。
君の声も、
笑顔も、
優しさも、

私は最初から、分かっていたんだ。
でも、気付かない振りをして…。
フられた後でも、まだ君を目で追っていたこと。

今のキスは、君を忘れるためだけじゃない。
君に嫌われるためだもあった。


もう、私は君のこと好きじゃない。
そして、二度と、こんなことしない…。


今も唇に残った感触。

君としたのは、
最初で最後の儚いキスだった――――…。




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