隣の席のキミ
Story*4
宿泊旅行
あの放課後から一週間が経って、今日から一泊二日の宿泊旅行です♪
藤田のことは、もう開き直ったみたいだし、旅行くらいは楽しみたい。
今から、藤田のことを考えないことにして、バス酔いもしないように気をつけなきゃ。
昔からバス酔いが激しい私。
真菜の席と交換してもらって、私は今窓際に座っている。
景色を眺めるだけで、気分が良くなるからね。
いやー…しかし前野、音痴すぎ!!
そう、現在バスのなかでカラオケ中。
…なんだけど、前野がマイクを持ったまま放さないってわけ。
「音外しすぎ~(笑)」
あまりにも音痴だから傷つかない程度に言ってやった。
「んなことない!!俺、結構歌うまいし!!」…全く、呆れるよ…。
あれだけ音外れてて、気付いてないなんて。
前野、私よりバカだったりして(笑)。
「前野ばっかじゃ、みんな飽きちゃうよ!マイク回してあげてよ!…ね?」
私は、こう言ったものの、内心ひっそり思っていた。
これ以上、前野の歌声は聴きたく…ない。多分、他のみんなもそう思ってるよ。
「しゃーねーなぁ、ゆずってやるか~」
…作戦大成功!!
予想以上に素直だった前野……まぁ、悪いことしちゃったけど。
…だから、一応心の中で謝っておいた。
ごめんね、前野!!
…でも、私前野の歌、聴いてると、酔っちゃうんだ…と、付け足して。
それから、旅行先に着くまでの間前野がマイクを握ることは……なく、なかった。