隣の席のキミ



行くより早く、前野は私達の持っていた袋の中を覗いた。
「わ、少くねぇ~。見てみ、俺の」
そう言って前野は自分の袋の中身を見せてくれた。
「……す、すご!!」
大量じゃん。
思わずそう口に出してしまうくらい、前野が狩った量は半端なかった。
「いや、俺のがすげぇから」
と、自分の袋の中を見せてくる藤田。
藤田は前野の量と比べたらしく、自分の方が少なかった事に気づいたのか、
「くそぉっ!!お前のが多いじゃん!」
と、一人、小さな子みたいに悔しがった。ふと、前野をのことを見ると、ざまぁみろって顔してて、
それが、なんかおかしくて、真菜と私はクスクスと笑った。
そして……
対決終了~。
時間はあっという間に過ぎていたみたい。各班で集めた量を数える実行委員の私と藤田。
藤田が数え間違えるもんだから、集計だけで結構な時間がかかった。
「じゃあ、ベストスリーを発表しまぁす。三位は5班で~す。二位は6班~。そして一位は…1班で~す!」
藤田が結果を発表した直後、
「イェーイ!!」
とハイタッチをする1班のメンバー達。
…惜しかったなぁ。
集計してて分かったけど、一位と二位の差はたったの3つだった。
「お前ら、良く頑張ったな。じゃあ早速とっておきの商品を…」
そう言って先生が差し出した紙。
「…休み時間専用の数学質問券だ」
…え?
数学質問券…?
ってことは、つまり…?
「つまりだな、お前らが数学を得意になれるように、助けてやるぞっていう券だ」
みんな、先生の言葉に目を真ん丸くしている。
< 43 / 110 >

この作品をシェア

pagetop