隣の席のキミ
「海でピンクの貝殻を見つけたら、裏側に好きな奴の名前を書くと、距離が縮まるんだって」
え?
好きな奴…?
私の頭の中はハテナマークでいっぱいになった。
そもそも、私の好きな人って…
「まぁ、頑張れよ」
前野が私の肩にポンと手を置いた。
「ちょっ!待ってよ!!私、今好きな人なんていないし…しかもなんで前野が…」
なぜか焦ってる私の言葉を遮って前野は耳元で呟いた。
「藤田に…フられたんだろ…?」
「は…!?…な、なんでそれを…!?」
「それぐらい、見てて分かる」
前野は呆れたように言った。
そして言葉はさらに続く。
「しかも、今も好きって事も知ってるし」
…な、何コイツ。
なんでこんなに鋭いの…??
誤魔化しすら通じなそうだから、前野には全て話すことにした。
「あの……今は、好きってわけじゃないよ…でも、好きか嫌いかって言われたら…好き」
前野は、
「ふーん…」
とだけ頷いた。
さらに言葉を重ねる。
「今は、ただ友達でいたいだけ…だと思う。藤田にも迷惑かけたくないしさ」
わざと笑顔をつくった。