隣の席のキミ



上手くつくれたつもりだった…けど、前野には通じなくて。
「…そんな辛い顔すんなよ。山城が藤田を好きでいようがいまいが、藤田は迷惑なんかしないじゃん」
突然、前野がこんなこと言うもんだから、一瞬戸惑った。
意外と、ちゃんと心の中整理できてて、すごいなぁなんて思ってしまうほど。
「…そうかな」
「当たり前。だから、それあげる」
前野は私の手の中にあるピンク色の貝殻を指差して言った。
微笑んで、くれた…。
「…ん、ありがとう」
「俺、腹減ったぁ(笑)」
「…早!!…でも、私もお腹すいた…かも」さっきのしんみりとした空気をいっきに吹っ飛ばした前野。
なんか、おかしくて、笑っちゃった。
前野は、少し、藤田と似てる。
だから、すごく馴染めるんだ…。
「なんか食い行く~?」
「ん~。行く~」
そして私達はチョコバナナを買って二人で食べた。
前野と会話するのは楽しくて、海で過ごした時間はあっという間だった。




自由行動が終わって、宿泊先に移動。
私達は各部屋に入る。
もちろん、男女ベツですよ(笑)


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