隣の席のキミ



前野の一言で、私達は男子部屋がある近く。つまり廊下の突き当たりの方へ移動した。
「前野、何~?話?」
すると、前野は黙ってしまった。
どうしたんだろ……。
私はずっと前野の顔を見ていた。
少しして、前野はニッと微笑んだ…。
優しい、顔…。
ドキン、と胸の鼓動が一つなった。
前野のその表情に心が奪われたような気がした。
突然、さっきの恋バナを思い出してしまう。
意識しているからなのか、顔が赤く染まっていく。
あぁ、やっぱり恋なんだ。
そう、自分の心の中では思っていた…。
数秒後、前野は口を開いた。
「今から言うこと、信じる?」
なんの事なのかさっぱり分からなかったけど、とりあえず
「う、うん」
と頷いておく。
そして、前野はせっかくの私の新しい恋を台無しにしてしまうほどに衝撃的な言葉を口にした。
「藤田…彼女と別れたんだよ…」

一瞬、何を言われたのかさっぱり分からなかった。
藤田が…彼女と別れた……?
なぜ…?
どうして…?
「…なんで?」

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