隣の席のキミ
嫉妬 Yuuto
トイレに行きたくなって目が覚めた。
暗い部屋を見渡すと、皆それぞれ爆睡していた。
いびきがウルサイ奴、寝相が悪い奴、隣に寝ている友達に顔を蹴っ飛ばされている奴。
まるでアニメのような光景に俺はフッと笑った。
布団から立ち上がり、あくびをして頭をかきながら俺はドアに向かって歩く。
ふと、後ろを振り返ると、一人いないことに気がついた。
あそこは、確か拓也…。
アイツもトイレか…?
そんなことを考えながら、ゆっくりとドアを開けた。
一瞬にして目に入ってきた光景。
なに…やってんだ?
アイツら…。
男子部屋から少し離れた廊下の隅っこ。
そこにいたのは、拓也と山城さんだった。恋人な雰囲気を漂わせている二人。
俺はなぜか、二人に声をかけることも、ドアから足を踏み出すことさえもできない。ただ、そこから様子をうかがっているだけ。
小さな声で会話をしているのか、俺は話を聞き取ることができない。
ただ、拓也が山城さんの頭を優しくなでている姿が目に映る。
…アイツらは、付き合ってるのか…?
俺が知らない間に、そういう関係になってたのか…?
不安と似たようなものが俺の頭の中を支配した。
でも、俺には全く関係のない事だった。
あの二人がどうなろうと、俺には関係ない。
勝手に覗ぞいているのも悪いと思い、俺はゆっくりとドアを閉めた。
そして、すぐさま布団へもぐり込む。