隣の席のキミ
私…弱いな…。
でも、藤田の優しさは、昔と全く変わっていなかった。
逆に、優しさが増した気がした。
外見とか、声とか、私が知らない人みたいに男の人になってしまって…。
それでも、ちゃんと君だって分かる。
温かいぬくもりと、小さな面影が、ちゃんと存在していたから―――――。
変わってしまっても、変わらないモノ。
それは、君の優しさと、無邪気な笑顔…。
「あ、由花ぁーお疲れぇ」
私を見つけた真菜が小さく手を振りながらこっちに向かってきた。
「大変だったでしょ?アイツと二人っきりで」
「うん。本当どうしようかと思ったぁー」
私は、笑顔を取り戻し、普通に真菜と会話した。
「次、体育だから着替えに行こ!?」
「行こ行こー」
さっきのことを半分忘れて、私は真菜と更衣室に向かった。
まさか、あんなショックなことを耳にしてしまうなんてことも知らずに…。