隣の席のキミ



「…はい」
俺は仕方なく廊下まで歩った。
最近、常に上の空。
旅行以来、あの二人の関係ばかり考えるようになっていた。
俺は廊下に座る。
山城さんと仲良く喋っている拓也を俺は最近初めて気にくわないと思った。
いや、別に拓也は何も悪くない。
確実に俺がバカなだけ。

勝手にフって、
勝手に愛して、
勝手に気付いて、
勝手に別れた…。
そしてまた
勝手に好きになって、
勝手に嫉妬して。
もう、勝手にしろ…俺。
それでも、なんだかんだで自分をかばおうとする。
最低な人間。
こんな俺は山城さんと話す資格なんかない。
俺はいつから、
こんなに弱くなった…?
なぜそんなにも嫉妬する…?
なぜ、「勝手に」を繰り返した…?
そんな事をしたって、結局は失ったものばかり。
得られたものなんて、空っぽになった心と今頃気付かされた後悔という名の気持ちだけ。
俺が、彼女と別れたのは、多分…じゃない、絶対…山城さんを好きになっていたからだ。
いつでも笑う、ひまわりみたいな君。
時々見せる、素の君。
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