隣の席のキミ



俺は、ずっと前から見ていたのかもしれない。
伸びやかに強く、空に向かって、太陽に向かって綺麗に咲く君を。
こんな俺に、素を出してくれた君を。
君が俺に出してくれた勇気は俺が持っている勇気の何倍、あっただろう…。
君は強く、ただ前だけを見て優しく生きる…。
廊下の窓から優しく吹き込んでくる風に気を取られて、ふと立ち上がった俺は、そのまま外を眺めた。
そこにあったのは、美しい風景だった。
7月上旬。
晴天が続く日々の中。
遠くに見える景色。
今、黄色く染まった温かい花が、空に向かって咲いている。
俺は、本当に情けない、つくづく情けない人間。
彼女がいるからとフった女を、好きになって、彼女と別れて。
好きな女と俺の友達が、仲良くしてれば、嫉妬する。
こんなバカげた考え方。
通用するわけがない。
認めてもらえるはずがない。
だけど、このままだったら、すべてが何も動かないから。
上の空になってる暇があるなら、好きな奴と好きなだけ喋ればいい。
好きだけ笑いあえばいい。
好きなだけ、近づけばいい。
好きだけ、嫉妬して、その分俺が頑張ればいい。
俺が頑張らなかったら、いったい、どこの誰がどう頑張る…?
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