隣の席のキミ
Story*1

君のヒミツ Yuka





「着替えめんどいねー」
「本当~。そえば由花って藤田のどこがいいの?顔?」
突然真菜に質問されて、どう答えていいかわからない私。
「別に顔じゃないかな。私、藤田とずっと一緒にいて、藤田の良いとこばっか見つけてきた気がするんだよね…」
ずっと前から藤田が好きだった訳じゃないけど、私はどこか、藤田の良いところばかり探してたんだ。
なぜか、他に好きな人がいても、藤田を友達以上恋愛対象以下で見てきた私…それが、今恋になってるなんてあの時は全然考えもしなかった。


「じゃあさ、藤田の一番良いとこってどこ!?」
「んーとね、人の気持ちを考えて接してくれるとこかな。誰にでも優しいし、明るくて…」
私が藤田の長所を話していたら真菜がストップを入れてきた。
「一番良いとこっていったのにぃ~一つじゃないじゃんかぁ~」
「あ…ごめーん(笑)」
「それくらい藤田が好きってことかー。ま、あたし本気で応援するから」
真菜の言葉が本当に嬉しかった。
「ありがと……!」


「ねえねえ、由花達何話してんの~!?」
話に入ってきたのは、友達の森内 美歩(もりうち みほ)。
私達はこの子をもりちゃんと呼んでいる。

「そえば聞いてよ~?」
もりちゃんが自慢気に言うから真菜も私も興味深々。
「何~?お前ののろけ話~?」
「違うっつーの!!」
私は真菜ともりちゃんのやりとりに思わず笑ってしまった。

「じゃあ何よ?」
「うちらのクラスに藤田っているじゃん?」
「…!???」
“藤田”というワードに即、耳を傾ける私。
藤田がどうしたの!?


「アイツさ、フリーっぽかったじゃん?こないだ藤田と彼女が歩いてるとこ見ちゃってさ!誰にも言うなって言われたんだけど言っちゃってるね、今(笑)」



……
………
…………え、今何て言った?
……聞き間違えだよ…きっと。
だって…藤田に彼女がいるって…そんなん嘘に決まってるよね…だって…アイツは…

なにもかもが真っ白で、私は彼女が誰なのかとか、いつから付き合ってるのかとか、いろいろ知りたかった…けど、実際私が知ったところで、どうにもならない。

……
胸がギューッて痛い。
喉まで締めつけられてるみたい…。



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