隣の席のキミ



「いや~遅れてすまないな~」
担任はそう言ったけど、実際遅れてない。「先生!!遅いです!」
きっぱりと言いはなったのはどっかのクラスの「まじめちゃん」だった。
だからあんたが早すぎんの。
俺はこんな風に突っ込みたくなったけどさすがに口には出せなかった。
「すまんな~っ」
謝る担任。
はぁ。
本当、真面目な人達には逆らわないのな…。
俺達がそんなこと言ったら「うるさい。先生は仕事があったんだぞ!!お前達が早く来すぎなんだ!!」とか言うくせに…。
「じゃあ今から作文用紙を五枚配るから宿泊旅行について書きなさい」
…はぁ!?
ご、五枚!?
ふざけんな…。
マジ、殺す気かよ!!!
そして担任は一人五枚ずつこの世で一番いらない作文用紙という紙を配った。
「ちゃんと五枚書き終えたら勝手に帰っていいぞ~。それと、用紙は先生の机の上に置いておくくよーに」
そう言うと、担任はそそくさと図書室からいなくなってしまった。
まったく…。
これだから実行委員なんてやりたくなかったんだ。
俺達は、気まずい空気のなか隣仕方ないから作文を書き始めた。
一言も喋らずにいられる人達がすごい…。息がつまる。
隣を見ると山城はだるそうにシャーペンでペン回しをしていた。
「マジダルくない?」
俺は静かに声をかけた。
「本当~。何書けばいいのか分かんないよ…。しかも五枚って…」
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