隣の席のキミ
「だから、さっきのはわざとバレるように投げたの」
山城はそれでも理解できず、キョトンとしたまま俺の目をじっと見る。
「…な、なんで…?」
なんでって、それは決まってんじゃん。
「俺も、寂しかったから。だからわざとバレて、二人で廊下に来ようと思ったわけ…。計画通り…だろ?」
そう言った後、俺は山城に微笑んだ。
もし、島田ティーチャーみたいな、すぐ「廊下に正座よ!!!!」とか言う先生がいなかったら、こんなことできなかったかもな。今だけは、島田先生に感謝。
「藤田も、寂しかった…の…?」
山城はまた涙をこぼしながら言った。
それを拭う俺は自然と優しい表情になっていた。
柔らかい髪をなでて、ちゃんと目をあわせて。
「…当たり前じゃん」
「…う、うん…」
こんな可愛い女が、俺の彼女。
つり合わないかもしれないけど、俺はこれでいい。
だって、お互いに“好き”だから。
自分をコントロールできなくなるのは、山城が好きすぎるから。
「今週の土曜、空けといて?」