I trust U ~最愛のあなたへ~

「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ」

私は次に隼人に会ったらどんな顔で会えばいいかわからなかった。
いろいろ考えながら駅まで自転車を漕いでいたら後ろから

「変態やろー」

この声は、そう隼人だ。
私は自転車から降りて今度は目を見て謝った。
隼人は勝ち誇った顔で私を見下ろした。

「お前、あの反応じゃ男の体初めて見たんだろ?」

隼人の言っている事は正しかった。
私は今まで彼氏が出来たことがない。

「別に」

私は平生を装って答えたが隼人には通用しなかった。

「俺は構わないぜ、減るもんじゃあるまいし。けどあれか、お前あんなんで茹で蛸みたいに顔真っ赤にさせて、本当だっせーの(笑)」

隼人は学校一のプレイボーイと言われてる。
彼女なんかも別れてはすぐに付き合うような奴だ。

これは明らかにバカにされてる。

「まぁ、お前には一生彼氏なんかできねーよ」

と言いながら再び駅に向かって行った。

「何がお前には一生彼氏なんかできねーよ、だよ。見てろよ今にも手の上で転がしてやる」

私は駅前のコンビニでファッション雑誌をあるだけの種類の物を買っていった。

「まずは見た目から変わらないと。今日の晩は抜きにしよう」

そう決心しながら電車を待っていた。
今日は今年一番の猛暑日と言われていただけに暑い。
外はまだ風があったからスズシイが車内はたまったものじゃない。

「痛ったい」

電車の中は箱詰め状態。
身動きなんてこれ一つもとれない程の人だ。
足なんて踏まれない方が奇跡だ。

"次は新宿 新宿"
次の停車駅の名前がアナウンスされた。
私の降りる駅は新宿だ。
しかしドアまで遠い、けどここで降りないと
と思っていると誰かが私の手を引っ張っている。

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