薄紅空
「そんな怖い歌が、子守歌の訳ないじゃない。」
川で洗濯をしながら、村娘たちは笑う。
「だって、物心ついたときから覚えている歌なのよ。
よく夢にだって出てくるのだし。」
露は、川から出て裾の紐を解く。
「村の巫女様の歌か何かでしょう。
何かのはずみで、覚えちゃったのよ、きっと。」
露の後に続いて、川から上がる村娘たちが言う。
「それより、聞いた?明里姉さん、若衆組の真人さんと祝言をあげるんですって。」
その言葉に、皆羨ましげに言う。