薄紅空


「いいなぁ。でも、私たちは次の祭りが勝負時よね。」



「この中で、相手が決まっていないのは露だけじゃないかしら。」



露は桶を持ち上げて、答える。



「まあね。」



答えて、歩き出せば、興味津々で問いかけてくる村娘。



「誰をお慕いしてるのよ、そろそろ話したっていいじゃない。」



口々に、言ってくるみんなに頭を悩ませながらも、



露は頭を悩ませながら答える。



「・・・月都(つきのと)の宮様よ。」



露の言葉に、皆驚きの声を上げる。



「本気で言っているの?」



「もちろんよ。」


< 5 / 20 >

この作品をシェア

pagetop