薄紅空
「いいなぁ。でも、私たちは次の祭りが勝負時よね。」
「この中で、相手が決まっていないのは露だけじゃないかしら。」
露は桶を持ち上げて、答える。
「まあね。」
答えて、歩き出せば、興味津々で問いかけてくる村娘。
「誰をお慕いしてるのよ、そろそろ話したっていいじゃない。」
口々に、言ってくるみんなに頭を悩ませながらも、
露は頭を悩ませながら答える。
「・・・月都(つきのと)の宮様よ。」
露の言葉に、皆驚きの声を上げる。
「本気で言っているの?」
「もちろんよ。」