天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅠ
「あぁん?」

渉の首に突きつけられたナイフの切っ先が、僅かに深く突き立てられる。

この状況で、生意気に忠告だと?

まぁいい、負け犬の遠吠えって奴か。

「いいぜ、言ってみな?」

自らが優位に立っている事もあって、嘲笑しながら犯人が言う。

「では僭越ながら…」

渉は懐から手帳…『春夏秋冬手記』を取り出す。

「あなた方の標的に入っていると思いますが…アモルファス・シャドウ…彼女はやめた方がいい」

「あん?」

「悪い事は言わない…」

振り向かぬままの渉。

その彼が、薄く笑む気配があった。

「彼女は『本物』ですから…」

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