天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅠ

アモルファス・シャドウは影を縫う。

体育祭で彼女と同じ二人三脚に参加した白組の生徒が、競技中に錯乱したという話は、今でも語り草になっている。

あれはアモルが何らかの『呪い』で敵対する白組の生徒を呪殺したのだという噂も、一種都市伝説化しつつある。

「はっはっはっはっはっ！」

渉の言葉を、犯人は嘲笑する。

「そうかいそうかい、お優しい渉君は心配してくれてんだな」

彼の背中をドン！と強く突き飛ばし、犯人は渉を解放した。

彼の言葉がただの負け惜しみであると確信しながら。

「よぉく肝に銘じて…アモルを狙う事にするぜ」

犯人は笑いを堪えきれない様子で廊下を歩いていった。