天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅠ
シュア・ベネルース、だって心配なんだもの
「琉先輩」

「んぁ?」

突然校内の渡り廊下で呼び止められ、琉はヘッドホンをしたまま振り向く。

プカッ、と音をさせてパックのコーヒー牛乳のストローから口を離すと。

「おお、シュアやん、どしてん?」

琉は声を上げる。

背後には深海の色の瞳を不安げに揺らす、2年の男子生徒の姿があった。

「少し相談に乗っていただけないでしょうか?」

「相談?ええよ。なになに?」

渡り廊下の手摺りにもたれかかり、読みかけのジ○ンプを閉じ、琉は目を細める。

「もしかして美人の幼馴染の事か?」

シュア・ベネルースは1年生のレーヴ・ミッシングトンの幼馴染である。

『起こしてはならない眠り姫』と呼ばれ、居眠りを起こす際には非常に危険を伴う寝起きの悪さで有名なレーヴを、唯一何事もなく起こす事の出来る稀有な存在。

シュアは彼女の世話係であり、天神学園では何かとセット扱いされる事が多かった。

学園でシュアとレーヴは最早公認の仲。

だというのに。

「ど、どうしてわかったんですかっ?」

何を今更な感じで、シュアは赤面した。

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