天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅠ
腕組みをしたまま、高価そうな扇子の先端を顎に当ててシーザを見下ろすお嬢様は。

(何で捕まえちゃったのかしら…)

実は自分でもよくわかっていなかった。

(私、彼とは初対面ですし、彼には何の用もありませんのに…でも、こう…彼を見ていると無性にムラムラするというか、捕まえずにはいられないというか…何だか見ているだけで悶々とするというか…ああっ、いけませんわ!私は二宮に…いえいえ!そういう話ではなくて!)

一人で思考ループさせるお嬢様。

そんな彼女に。

「お嬢様」

二宮が声をかける。

「な、なぁに二宮」

「私…体調不良かもしれません」

「は?」

「彼を取り押さえていると…」

顔色一つ変えず、しかし言葉の端々に戸惑いのようなものを見せて。

「無性に嗜虐的な衝動に駆られるのですが…」

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