ハニードット
■美樹SIDE■
「美樹も大変だよね。ヤンキーみたいな彼氏持っちゃって」
私の勝手な思い違いかもしれない。
だけど、私は今隣にいる
安藤智美を親友だと思っている。
その智美がする発言。
「え、龍の事?」
"龍"というのはあだ名で本名は"志田龍吾"。
智美が言う『ヤンキーみたいな』
それは、暴力を奮うということ。
でも、私には…と言うより
私の知り合いにも優しくしてくれる。
だから、暴力を奮うのは何らかの
原因があるんだと思う。
「あったり前でしょ?それ以外誰だっての」
「…龍はヤンキーなんかじゃないよ、」
息を飲んで言ってみる。
智美は少し唖然としたけど、次第に笑った。
「…美樹、信じてるんだね」
智美は微笑んで言った。
チャイムが廊下に響く。一体、
今は何時限目だろう。
「美樹がさ、幸せなら私も幸せだよ」
そういって、行こ?と教室へ誘う。
次は社会らしい。
「安藤、斎田!!2分遅刻」
教室には既に橋田がいた。
橋田というのは社会の先生で智美の一目惚れ相手。
「すみませーん」
と笑いながら席に着く。
私と智美は窓側の一番奥の席の前後。
智美が私の後の方。
クラスのみんなの笑い声も収まり
授業が進む。
橋田は教科書を音読する。
「ねぇ、美樹美樹。橋田っち、格好良くない??」
何度も聞いたその言葉。
智美は本当に橋田が好きみたいだった。
「えー。私は龍のが格好いいと思う」
笑いながら話す。その堺にいつの間にか
橋田が立って二人を見る。
「へぇ、授業中に呑気に彼氏の自慢か」
橋田は、噂によると最近彼女と別れたらしい。
フラれたか、フッたかは分からないけど
今は正真正銘、フリーだ。
だからきっと今、短気なんだね。きっと
「先生、違いますよ?智美がねー…」
「あーっダメダメ!!私自分でいうもん!」
はい。引っ掛かった。すぐに騙されるよね。
智美ってば
「じゃぁ、安藤。授業終わったら資料室へ来い」
そういって、授業を再開する。
智美の顔は既に耳まで真っ赤で
林檎みたいだった。
橋田は、もう20代前後だってのに
顔は童顔っぽい。雰囲気は大人なのにね。