不思議少年はかく語る


(一)


好美(よしみ)にとって、それは異常にも見えた。


普段ならクラスメイトの他愛ない話ネタとして受け取るが、連日に及び同じジャンルのことをはしゃいで話すのは、巻き戻して再生されたビデオを何度も見ているようで不気味にも思えたのだ。


それがまた、オカルトとカテゴライズするジャンルならばなおのこと気味が悪い。


クラスメイトの話の花を咲かせるのは、都市伝説の類いだった。花にしては陰鬱すぎる話だが。


それでも面白いらしく、クラスメイトは得意気に、誰かに聞いたであろう噂を話す。


口裂け女、メリーさんなら好美にしてみれば聞いたことある話だが。かごめかごめ、隙間女は初めて聞くようなものだった。


次に七不思議。トイレの花子さん、勝手に鳴るピアノはマイナーだが、座ると呪われる席だとか、赤い血が出る蛇口も知らないこと。


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