Black Peace


「じゃ、私こっちだから。」

しばらく歩いてから別れ道に着くと、千秋が切り出すように言った。


気がつけば、もう千秋といつも別れる道に着いていた。

学校の校門からでてここまで来るのに、十数分はかかるのだが、
こうやって無駄話をしながら歩いているとあっという真な気さえする。



「おう。」

とっくに飲み干した紙パックのゴミを握りつぶしながら、答えた。


千秋は俺に満面の笑みを向けながら、楽しそうに言った。


「そんじゃ、また明日ね♪」


そのまま軽く手を振ると、クルッと背を向けてスタスタ行ってしまった。


「相変わらず、太陽光みてぇな明るさだな…」

何かあったわけでもないのに、いつも上機嫌で、いつも笑顔で………

今の俺とはほど遠いね…


俺の近くに、あんなにも明るい奴がいるのに、俺はそいつのようにはなれない。

俺にとって眩しすぎる千秋の去り行く背中姿をしばらく眺めると、俺は右手に握りしめていた空の紙パックを川に投げ捨てた。





その瞬間を清掃のおじちゃんに見つかり、家まで追いかけられたのは、また別の話だ
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