Black Peace
突然響いた夜佐神の元気な声に、思わず呆然とする。
そんな俺の様子を気にせず、夜佐神は明るい笑顔で語りかけてくる。
「柴田君、めちゃめちゃ頭いいじゃん!すごいよ!百点取った人なんて、たぶん柴田君だけだよ!」
……なに言ってんだこいつ…。
「お、おい、待てよ…」
夜佐神のあまりにも意外なリアクションに、俺は逆に納得がいかなかった。
「それだけか?」
「え?」
俺の要領を得ない問いに、夜佐神は笑顔のまま首を傾げる。
「それだけかよ。おかしいと思わないのかよ…」
「え?なんで?」
なんでと問われても、俺は自分からは説明しづらかった。
今までの奴らは、俺がテストで高得点を取ると、カンニングだの不正行為をしただの、有りもしない事実を周りに言いふらして、教師からも咎められたりもした。
そりゃそうだ。
俺みたいな不良がテストで百点を取るなんて、不正行為をしたとしか思えないもんな…
だから、夜佐神の反応に思わず戸惑ってしまった。
「俺みたいな奴が百点取ってんだぞ?不正行為とか疑わないのか?」
ポカンとしていた夜佐神は、珍しく動揺している俺に、優しく微笑み、
ひとつ、答えた。