Black Peace


「……は?」


大野は鳩が豆鉄砲を食らったような表情で、空気の抜けるような声で言った。ほかの連中も、俺の発言に面をくらっている。


俺は壁に体を寄りかからせて、興味なさげに続けてやった。


「何で俺がそんなことしなきゃなんねーんだ?別に夜佐神とは友達でも何でもねーし。だから俺には関係ねぇんだよ。」


「ちょ、ちょっとリヒト!急になに言ってるの!?」


「そうだよ!夜佐神は俺らの大事な友達だろ!なにこんな所でクールぶってんだよ!」

千秋と木下が慌てた様子で言ってくるが、全く耳を貸さない。


「だいたいよ、本当に夜佐神はその不良グループに襲われたのか?証拠が一つもないんだろ?ただ単にグレてやけ酒でもしたんじゃねぇの?」


「あんたねぇ……!」

眉間にしわを寄せた大野がこちらに寄ろうとするところを、香川が慌てて止める。

でも、その香川も、俺に対し怒りのこもった眼を向けてきた。



俺は小さく鼻で笑うと、みなに背を向けて、右手を挙げながら


「とにかくこの件については俺はパスだ。関係ねーのにこれ以上面倒ごとに巻き込まれてたまるかよ。」


そういい捨てて病室を去った。




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