Black Peace
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「ありえない……神坂さんには悪いけど、あいつはやっぱりクズよ!この状況で何であんなこと言えんのよ!!」
今にも足下にあるゴミ箱を蹴り倒しそうな勢いで怒鳴る。
険悪なムードの中、千秋が本当に申し訳なさそうに言った。
「ごめんねみんな…。いつもはあんな感じじゃないんだけど……。後で私がちゃんと言っておくから!」
「神坂さんはなにも悪くないわよ。後で私が殴ってやるわ!」
「大野さん落ち着いて!柴田君にはその内みんなで言えばいいわ。それに、あまり病室で騒ぐものじゃないよ…」
香川がもっともなことを言い、何とか飛鳥に冷静になるように促すが、その香川の表情にも戸惑いが見られた。リヒトの言動が未だ理解できないのだろう。
みんながリヒトにグチグチ言っている中、木下は病室の端で一人黙り込んでいた。
たしかにリヒトの口にした言葉は最低だ。
正直、木下自身もリヒトの言葉には腹を立てている。しかし……
リヒトは本気で言ったんだろうか?
木下は先程のリヒトの言動の真意を疑っていた。
何故なら……
病室を出て行くときのリヒトの顔が、あまりにも怒りに満ちていたのを見てしまったから……