Black Peace

「そっちはどうだった!?」

「駄目…場所を特定できる情報は手には入らなかったよ…」


私より先に落ち合い場所の公園に着いていた神坂さんが、残念そうに言う。


「私も……噂は聞いたことあるって人は何人かいたけど、みんな詳しいことまでは知らなかったわ…。」

私も肩を落として報告した。


結局柴田が帰った後、私たちでその犯人を捜そうという話になった。というか、私が提案した。

やっぱりこのままじゃどうしても気が収まらなかった。


残った私、神坂さん、香川さん、木下の四人で、手分けしてこのあたりの学校の生徒を虱潰しにさがし、例の不良グループについて事情聴取を行ってはこの場所で落ち合って報告し合うことになっている。


ちょうど部活帰りの他校の生徒たちも多かったため、たくさんの人に聞くことはできたが、私の聞いた情報もあまり有益とは言えない。

「やっぱりそう簡単には見つからないか……」


私と香川さんの二人で公園で肩を落としていると、急に香川さんの携帯から癒し系のメロディーが鳴り響いた。

ピッ

「はい?」

香川さんは自然に着信にでると、電話相手からなにを言われたのか、「え!?本当!?」と驚愕に表情を染めた。


「分かったわ!今から大野さんとそっちに向かうわ。うん。それじゃ!」

ピッ

「どうしたの?」


急に香川さんの表情が驚愕に変わったのと、会話中に自分の名前が呼ばれたことが気になり、訪ねると、香川さんは携帯を握りしめたまま、


「木下君が、明島工業の人からその不良集団の居場所が聞けたって!もう、木下君と神坂さんは先に落ち合ってるらしいから、私たちも行こう!」


「ほんと!?木下もやるときはやるじゃない!キャラが受け付けれないから本人には言わないけど。」

「いや、受け付けれないことの方こそ本人には言わないどいてあげて……」


とにもかくにも、私達はその落ち合い場所に走って向かった。







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