Black Peace

開いたドアの隙間から、少し濁った空気が流れ込んでくる。

ドアを完全に開ききったとき、濁った空気とともに、驚くべき光景が飛び込んできた。


私は、いや、私たちは唖然とした。


数秒の間、工場内の光景がうまく理解できなかった。


私達の推測していたとおり、工場内には大勢の不良達がいた。


いたにはいた……のだが…



そのほとんどが…というか、一名を除いた全員がボロボロになって倒れていた。

おそらく気を失っているだけだろうが、死んでると言われてもおかしくないほどの有様だった。


そして、周辺に積み重なっている屍達の中心でただ一人立っていたその男は、私たちに気づいたのか、ゆっくりこちらに振り向いた。



その男を見て、私たちはさらに驚愕した。

まるで崖から転落したかのようなボロボロな顔は、血塗れではあったが明らかに見覚えようがなかった……






「……し…しば…た……?」


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