Black Peace


リヒトangle



「………」


工場の入り口に目をやると、そこには見知った奴らが四人ほど立っていた。


なかなか視界がぼやけてピントも合わないが、そこにいたのは間違いなく大野たちだった。



「…なんで……おまえ…ら…」


歩み寄ろうと右足を動かそうとしたが、もう疲労困憊だった足は動こうとはしてくれず、俺はバランスを崩して地面にひれ伏した。


「リヒト!」


一番に駆け寄ってきたのは金罰のショートヘアー、千秋だ。

千秋は崩れた俺の体を支え、

「リヒト!大丈夫!?なんでこんな…!」

泣きそうな面で呼び掛けてくれた。頭をなでて大丈夫だと言ってやりたいが、それすらもてきそうにない。

そもそも全く大丈夫に見えないだろうし…


千秋に続いて、大野たちもこちらに駆け寄ってきた。


「……どうして、あなたがここに…?」


大野が怪訝な表情で訪ねてきた。

「……別に…」

俺はうまく答えられなかった。とても夜佐神の敵取りに来たなんてこっぱずかしくて言えっこない。

そもそも病室であんなセリフをはいた手前だ。こいつらと顔を合わせるのすら気まずくてたまらない…
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