シオン
「もっと・・・海に近づきたいんです」

「分かりました
海は綺麗ですよね」



こうやって
恋には手伝ってくれる人はいない




ザザザザザ…__


波は近づいてまた遠くへ行く




水は掴みたくても捕まえたくても

そんなこと絶対できない



優くんは私にとって


“太陽”じゃなくて“水”だったのかもしれないな・・・


人は水がないと生きれないけど

水の中にいると苦しい

捕まえられなくて通り抜けて行く



ううん

ただ私が捕まえようとしなかっただけなのかも・・・




今はもう
体が思うように動かない



こんな自分が嫌




「すいません
一人にしてください」


どうしても一人になりたかった



「はい分かりました。何かあったらすぐ呼んでくださいね」





ザザザザザ…___

波が流れる

ただぼーっとするだけで落ち着く



ザザザザザ___

「あっっ・・・」

うそっ
さっきまで波が小さかったのに

ヤバい

大きい波が来る


車いすがっ

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