守られお姫様~姫と騎士たち~(仮)
第一章
満月の夜
ガチャ-
バルコニーに出ると、夏なのに夜だからか冷えた空気が全身を被う。
「今夜は冷えるなあ・・・」
あたし、天乃宮美桜。天乃宮財閥の一人娘。
カーテンを閉めようと窓際に立つと、綺麗な満月が見えたのでバルコニーに出てみたのだ。
「・・・綺麗」
ふと真っ直ぐを見つめていると、川辺沿いに木の並木道が見えた。
そういえば小さい頃、一度だけ母様と一緒にあそこに行ったことがあるなあ・・・。
あの頃は春で、ちょうど綺麗な桜がたくさん咲いていたっけ・・・。
「母様・・・」
そう呟くと同時にスウッ・・・と風が通っていった。
「・・・ん?」
よくよく見ると、あの川辺に誰かいる・・・。