SNOW
…芸能界は、俺の憧れの仕事でもあった。だからこそ、今回だけは親に指図されたくなかった。

親不孝と思われるかもしれない。確かに、ここまで育ててくれたのは両親だ。

だけど、だからと言って自分のやりたいことまで手放していいのだろうか。

もう、自分で考えることくらい、ちゃんとできる。

その考えが、これだ。

芸能界に入りたい。

親が反対しようが、俺は俺のやりたいことをやる。それが将来につながるなら、それでいいじゃないか。

「お、もうこんな時間。」

バック、コート、マフラー。

必要なものを手に取り、俺は部屋を出た。

「…行ってくるから。」

「…。」

父さんも母さんも、何も言わない。そうとう怒っているのだろう。

外に出ると、雪が街の全てを覆っていた。

「…すげぇ。」

まだ何色にも染まっていない、綺麗な純白の世界。

それはまるで、今の俺の心を表しているようだった。

そして、俺はゆっくりと歩き出した。

まだ見えない、無限の可能性と未来を探すために…。
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