SNOW
母さんと父さんは、本杉の話を熱心に聞いていた。

「…と言うわけで、竜斗君には五、六人のグループに入ってもらおうと思っています。」

「でも、この子ダンスや歌なんてやったことないんですが…。」

「あ、それは構いません。これからレッスンをつけますので。」

「…竜斗はどうなんだ?」

「俺?俺は…、まあ、やってもいいけど……。」

なんて。気のないふりをしてみたけど、本当は本杉の話を聞いているうちに、すっかり興味が湧いてきてしまったのだ。

「曖昧な返事をするんじゃない!!」

突然怒鳴られたので、思わず父さんの方を振り返ってしまった。

「お前、芸能界がどれだけ厳しいのかわかってんのか!?」

「…えっ…、あ…いや…、その…。」

「有名な事務所に入ったからって、必ずしも売れるわけじゃない!お金もかかるし、なにより体力と根性のないやつなんか、一番最初に落とされるぞ!」

「…。」
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