【超短編】ワガママお嬢様、私の愛はいかがでしょう。



『昨晩、お嬢様は、お友達の笹倉雅様にまだコーヒー飲めない事を馬鹿にされ、ムカついたから朝はコーヒーにと私にお申し付けなされましたが。』

「あ・・・。」


ワガママお嬢様は昨晩の事を思い出したのか苦い顔をして黙り込んだ。


『お嬢様、失礼ながら言わせてもらいますが、こういう時はまず私に謝るべきだと思います。』

「うっ・・・」


那波の正論にお嬢様はまた言葉を詰まらせる。


「う・・・五月蝿い!何よっ、執事のくせに!あなた生意気!」

『お嬢様、逆ギレですか。たちが悪いですね。お嬢様ほど私生意気ではないかと。』

「も〜〜ッ!!いいわ、あたしが悪かったわよ!」


お嬢様はプンすか腹をたて、広くて長い大理石の廊下をヒールでカンカン音を鳴らし自室へと歩いていった。


『困ったな。本当に、ワガママなお嬢様だ。』


執事は一人、怒って行ったワガママお嬢様の後ろ姿をながめため息をついていたのである。こんなお嬢様を愛おしいと思ってしまう自分を不思議に思いながら・・・―――





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