不機嫌に最愛



少しでも梓希先輩があったかくなればいい、それだけの気持ちで。



「……萌楓、イイ匂いする」

「お風呂入ってたから、……てか、くすぐったいです!!」



私の首筋に梓希先輩の顔があるのは、わかってる。

わかってるけど……!!


なんで、顔を擦り寄せてくるの!?



「どうりで。……で、さっきのヤツ、なんなの?」

「知らない人ですよ?梓希先輩来てくれて、よかった……」

「うん、萌楓に何もなくてよかったよ。……萌楓の不機嫌もなくなってるしな?」



首筋に梓希先輩の息が当たって、軽く笑ってるのがわかって。

梓希先輩に絡めていた腕を離して、……梓希先輩を非難がましく睨み付けた。

いつもの身長差が無くて、おんなじ目線だ。

……なんて、余所事も考えながら。



「梓希先輩?なんで、笑うんですか?」

「萌楓がいつも通り素直だから?素直な萌楓の方が、すんなり甘えてくれるし」

「~~っ、だって、怖かったし!!」



ムーッとしながらも、私は甘えたモードで。

また、梓希先輩の首に絡みつく。



「よしよし、大丈夫。俺いるし」

「……うん、」



頭をポンポン撫でられて。

こんな風に、梓希先輩が私を受け入れちゃうからダメなんだよ。

もー、今朝は諦めるしかないと思ってたのに。

髪は切れないままだし、梓希先輩に甘えちゃうし。

結局、梓希先輩の答えはなんなの?

今夜わかるって、言ったよね……?






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