不機嫌に最愛
“……萌楓?萌楓さーん?”
“本当に寝てるし。”
“風邪引くぞ?”
“萌楓ー?”
“寝るなら、ベッドに移すよ?”
んー、夢、かな?
梓希先輩が、究極的に優しすぎる声が聞こえる気がする。
いや、梓希先輩はほとんど優しい時ばっかりだけど。
ふわふわ微睡む私には、これが夢か現か、わからない……。
“萌楓、おやすみ──”
うん。梓希先輩、おやすみなさい。
大好きです……
“……俺も、好きだよ”
やっぱり、夢かもしれない。
自分に都合のいい答えが返ってくるなんて、……そんなの幸せすぎる夢でしかなさそう。
「……ん、ふぅ、あ……、」
「ごめん、起こした?」
夢でしか、なさそうなのに。
頭を撫でられる感覚と、唇に感じる違和感と息苦しさに眠りを妨げられて。
「し…き、せんぱ…い……?」
起き抜けの微睡んだ状態の私のすぐ目の前には、梓希先輩。
……しかも、どうして?
私の唇に梓希先輩の唇が、微かにくっついてるの……!?