不機嫌に最愛
───・・・
『なんで!!萌楓の好きなヤツが、梓希先輩なんですか!!』
『いや、俺に言われても……、』
──4年前。
24歳の俺が16歳の萌楓に、“梓希くん、好きです”と告白されたのが事の始まり。
4年前までは、“梓希くん”って呼ばれてたのに、……なんで“梓希先輩”呼びになったんだっけ?
……まぁ、それは置いといて。
女子高生成り立ての可愛がってる女の子に告白されて、嬉しくないわけがない。
でも、そういう対象として見ないようにしてた俺は、返答に困って“ありがとう”とか言った気がする。
ぶっちゃけ、テンパってた記憶しかなくてあやふやだ。
萌楓の髪を今から切ろうという瞬間のことで、……と言ってもそんなに切ることもしてなかったんだけど(俺の好きなストレートロング切るとかもったいないし!!)、その日はトリートメントだけして終わらせてた。
その後の1日、平静を装っていたがずっとテンパっていた俺は、……理玖に電話して“萌楓に告白された“ことを話してしまっていた。
……これが、間違い、だった。
夜には後輩に呼び出される上、なぜか俺が説教くらう始末だった。
『あんなに可愛いのに!!梓希先輩が萌楓甘やかして囲いこんで、兄ちゃんの俺よりベッタリにさせるからこうなるんですよ!!』
……甘やかしてるのは否定しないけど、囲いこんでないし。
それに、理玖はシスコンすぎ。
萌楓は軽く流しつつも受け入れてるけど、絶対こんな兄ちゃんいたらウザイと思う。